馬鹿を言え

【ユッケ食中毒】生肉を食べたい…復活要望が相次ぎ苦悩する焼肉店



痛いニュースでも取り上げられていたこのニュースだが、かの事件が起きてなお食べたいと本気で口にしている奴の意図が知りたい。

・・・と言いたいが、かくいう俺も連休中に某所飲み屋にて
「おいおいメニューにユッケあるけど大丈夫かよ!」と声高にしながらも鶏の肝刺しを食べていました。


まあ俺は緩やかな自殺願望者だからまあそれで不慮の事態になっても構わないんですけど、つまりは全体的な意識というか、生肉を食するということに対する情報不足、認識の甘さが、この結果を生んでいるのだと思います。


まず刺身という食文化が根付いているのだから、魚はまあ大丈夫だろう・・・
川魚は寄生虫の問題があるらしいけど、ルイベ等の処理によって流通しているから大丈夫だろう・・・
馬肉はあまり流通していないから食べる機会は少ないけど、一般的な馬肉のメニューといったら馬刺し、新鮮でなおかつ一定の基準をクリアして流通してメニューになっているのだから大丈夫だろう・・・

生食可能な動物性蛋白質に対するレアリティを評価する食文化が根底に育ち、それじゃあ他の食材は?というようにヒートアップし、じゃあ他の肉は?というところに視点は移る。
豚はマジヤバいという認識が確率しているので手を出そうとはしないが、牛は?鶏は?
牛は比較的菌が少なく、あっても表面がほとんどなので、いわゆるたたきという処理によって、ほぼ生食が可能になる。ローストビーフも牛のたたきと似通った料理なので問題無し。あれはレアにみえてもちゃんと火が通っているし。



まあここまでは個人的には安全性が確認できてるからいいや。
じゃあ鶏のたたきは?
鶏は牛に比べて菌保有率が高いらしい。なので生食は控えたほうがいいような気がする。
しかしいつの間にか鳥のたたきがメニューに定着する。
最初は本当に大丈夫か?と疑心暗鬼であっても、まさか店側が無配慮に出すはずがない。特別新鮮なのだろう。ならば却って食べてみないと損じゃなかろうか。
じゃあユッケは、じゃあ刺身は・・・。


「メニューとして出しているから大丈夫なのだろう」という信頼、
「普段は食べれそうに無い」というハレに対する憧憬、
そして生であるもののほうが素材の格の上位性という生食信仰が絡み合いながら今日のこの状況を形成しているのである。
一度信用したものは疑うという選択肢を除去し、問題が明るみになるまで潜む。


「生食用の肉は流通して無い」と言われても、必要な調理過程を無視しているのはフグの肝を勿体無いからメニューとして出すのと同意義である。
まさか死者がでるとは思わなかっただろうが、そんなものはそれを取り扱う者としての自覚と知識と認識の欠如であるし、コストがどうこうというのは経営側の理屈であって経営競争の悪い一面の露出であるのに、なぜ加害者のくせに被害者面をするのだろう。


必要なのは責任のなすり合いではなく、安全に対する認識あるが、そのステージに100人弱の被害者を出してやっと立てたというのは大きな代償である。